6月27日、「紫陽花忌」に行ってきました。
この日は、江戸時代末期、19歳で亡くなった、母親思いで信心篤い名妓・雪友の命日です。昭和60年に始まったこの「紫陽花忌」は、若くして薄幸の中亡くなった哀れな遊女たちを供養するおまつりです。

福岡商工会議所が、会員の事業所さん向けに毎月発行している会報誌「会議所ニュース」があります。
表紙絵は、漫画家で、「博多町家ふるさと館」館長の長谷川法世さんが描かれています。

<6月号の表紙です>
表紙には、「悲笑」というタイトルがついており、詩を読むと「紫陽花忌」が題材になっていました。
気になって調べてみると、博多区にある選擇寺(せんちゃくじ)で、毎年6月27日に行われているとのこと。
そこで、当日行ってきました。

13時前にお寺に着くと、檀家さんたちが集まってらっしゃいました。
「どうぞ、どうぞ」とこころよく促され、本堂にあがると、博多人形師の方や長谷川法世さんもいらっしゃいました。
法要の前に「あじさい忌博多人形 記録」を見せていただきました。毎年、遊女にちなんだ博多人形が奉納されているとのことです。

<あじさい忌博多人形 記録>

<博多人形の奉納の始まりが書かれています>
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このお寺には、江戸時代から明治初期にかけて亡くなった遊女、580体の無縁仏がまつられています。
遊女たちの過去帳も残っており、当時としては、このような配慮は、全国的にも珍しいことだそうです。

<無縁仏がまつられています>
貧しさのため身売りされた遊女の一人、雪友。
彼女は過酷な生活の中でも信心篤く、母親が死んだ時、このお寺に十両を寄進しました。
十両とは現在の金額に換算すると70万円だそうです。

<この鐘には、「博多 柳町 加登屋 内 雪友建立」と刻まれています>
母の死の4年後、文久元年(1861年)6月27日、雪友も19歳という若さで、薄幸のうちに病死、この寺にまつられました。

<雪友と母親のお墓>

<今年は、雪友の母の第150回忌、雪友の第146回忌にあたります>

<この日は、特別に、これまで奉納された博多人形が並びます>
住職の有田量俊さんは、昭和60年に選擇寺の住職となられました。
このお寺に残る、雪友ら遊女の話を知って、名妓・雪友の命日に、檀家さんたちと法要を始められたそうです。

「人は皆幸せになる権利があります。しかし、貧しさのため、不幸のどん底で死んでいった遊女たちが大勢いました。
彼女たちが、少しでも安らかに眠れればという思いで、年に一度ですが、このように法要をいとなんでいます。
また、博多町人文化連盟の方や博多人形作家協会の方と縁があって、このように続けてこられたことに感謝しています」
今では、慎ましくも風情あるお祭りとなっています。
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博多人形の奉納は、紫陽花忌の始まった翌年、昭和61年から続いています。
選擇寺と雪友ら哀れな遊女たちの話を知った博多人形作家協会の有志たちが、昭和61年に、雪友を姿どった博多人形を奉納したのが始まりで、それ以来、毎年人形を製作し、奉納し続けています。

<初回、奉納された方の署名です>

<ほぼ中央の、一番大きい人形が、初回奉納された“雪友”。
これを中心に左の3体、右の2体が今年奉納された人形です>

<今年の署名。5体が奉納されました>
今年、奉納された5体をあわせて、121体を数えます。

<さまざまな表情の人形たち>

<(写真左から順に)人形を奉納された博多人形作家の益永さん、国崎さん、三宅さん。>
「この時期は、博多山笠の飾り準備で忙しい時ですが、紫陽花忌のために、毎年人形を製作し奉納しています。
博多人形師の人数は減りつつありますが、後輩たちに引き継ぎながら、580体をめざして頑張ります」
と、博多人形作家協会の益永会長にお話いただきました。
この日、長谷川法世さんは、博多町人文化連盟の理事長として参加されていました。

「博多町家ふるさと館の館長や、博多町人文化連盟の理事長となって、この話を知り、いろいろ調べていくと、本当に悲惨な運命を辿った女性たちの話が眠っています」
と語っていただきました。
そんな悲惨な状況の中でも、母を思う気持ち、信仰心の篤さには感動を覚えます。
人知れず埋もれていく博多の歴史を、今の博多の人々が、ささやかながらも伝えていらっしゃることにも感銘を受けました。

<境内に咲く紫陽花>
約150年前のお話ですが、そう遠い昔の時代ではありません。
このように、不幸のどん底で亡くなる女性がいない世の中になりますように、と合掌。

<お抹茶と紫陽花の和菓子をいただきました>
浄土宗『選擇寺』
住職 有田量俊さん
住所 福岡市博多区中呉服町9-21(地図)
電話 092-281-2642
【紫陽花忌は、毎年6月27日、13時より】
