早良街道沿いの西鉄バス「唐木」そばに、駐車場も完備され、誰でも入店し易い店構えをしている時計店さんがあります。
今回は、この阿南時計店の一級時計修理技能士の阿南武一さんにお話を聞いてきました。

(店主の阿南武一さん)
阿南さんは、パン屋さんなどで様々な職をこなした後、和光時計店に就職したことが時計との出会いの始まりでした。40年前に飯倉で独立。昭和45年には時計修理技能一級技能士の試験に合格されました。

(一級技能検定技能証書)
阿南さんの修理技術は九州内でも指折りです。今では大手時計メーカーでも修理できない特殊な時計や古時計などの修理のために他県からも多く引き合いがあっています。
店内の壁には明治中期から昭和四十年代のぜんまい式の掛け時計が10台ほどが掛けられており、動かなくなったものは、修理されるのを待っています。
実際に取材中にも時計が阿南さんのところに持ち込まれてきました。

(壁に掛けられて今でも時を刻み続ける昭和30年代の壁掛け時計)

(時計の部品の洗浄器)
腕時計のオーバーホール(分解→洗浄→組み立て)は一週間くらい、大型の壁掛け時計になると約一ヶ月の時間をかけて細かい作業を行っていきます。
実際の修理風景を見せていただきましたが、本当に根気のいる仕事でミスの許されない緻密な作業を集中して続けられる人でないと無理です。

(腕時計の電池の交換を行う阿南さん)
業界全体としては電池式のクオーツ時計やデジタル時計の開発により、時計自体の故障頻度は減ったようです。
しかし、一般の方から「大切な人からもらった時計なので絶対に直したい」「家で眠っている古時計を直して」などの問い合わせに加えて、メーカーや他の時計屋さんからまわってくる特殊な時計の修理依頼が次々と持ち込まれてきています。
故障した時計を預かり修理後、またお客さんに手渡すというのが基本ですが、大型の時計などは機械やぜんまいの部分だけ取り出し店に持って帰り修理を行い、また設置するという作業も行っています。
阿南さんによると「価格や種類に関係なくどんな時計でもきちんと直して渡したとき、お客さんの喜んだ顔を見るのが楽しみです」とのことです。
修理して数年後に「前にもここで修理してもらいました」とお客さんが来てくれることもよくあり、リピーターも多いとのことです。

(さまざまな修理道具)
この大きな壁掛け古時計はドイツ南部のシュヴェニンゲンという小さな村で1822年に創業したキンツレー(KIENZLE)社のものです。

(お店のシンボルである100年以上前に製造されたKIENZLE社の壁掛け時計)

(KIENZLE社の文字盤)
キンツレーはユンハンス(JUNGHANS)と並ぶ有名なクロックメーカーでこの壁掛け時計は3つ重さの違う錘で時計部分、時報部分、チャイム部分の機械を動かしています。一週間に1回おもりを上に引き上げることで今もまだまだ現役で動き続ける古時計です。

(おもりで動く壁掛け時計の内部)
そうなると聞きたくなるのが苦労した修理品のお話なのですが・・・
阿南さんによると、「今まで直せなかった時計はない。一番難しいのは古い壁掛け時計で、分解して洗浄までできても組み立てを間違うケースがある。これは特殊なので経験が必要なんですよね。」とのこと。

(古い壁掛け時計の状態をみる阿南さん)
時計は手入れをすればいつまででも使える。だから、愛情を持って使ってほしい。というのが阿南さんの思いです。
こんな職人肌の阿南さんを支える奥さんにお話を聞いてみると・・・

(奥さんの久仁恵さん)
「この人は時計の修理だけで接客や経営はぜんぜん駄目なんですよ。その代わりに私がいろいろなセミナーに参加して経営の勉強をしているけれど・・・お店として商圏を広げるつもりはなく、その代わりに地域に密着した街の時計屋さんとして生き延びて生きたいと思っています。実際、地域で公民館行事や行事があれば率先して参加するし、お店に時計を買いに来なくてもただ寄ってもらってお茶を飲んでいってもらってうちのファンを増やす努力をしてます。確かにバブル崩壊などあって大変ではあったけど、地元をはじめ多くの顧客がついているのでコンスタントに腕時計や壁掛け時計がでてますし、特殊な時計の修理依頼もあり、店の収入はあまり減っていないんですよ。」とのこと。
なので・・・せっかく、大切な時計を預けるならこういう職人さんに預けたいですね。

(お店の概観)
阿南武一さんのプロフィール
昭和38年 和光時計店勤務(甘木市)
昭和40年 現在地で独立開業 現在に至る。
昭和45年 時計一級技能合格
昭和48年 職業訓練指導員免許合格
商店街活動(飯倉)も積極的に行い、会長職も13年間されています。福岡商工会議所商工振興委員としても様々な施策の普及に日々尽力されています。
『阿南時計店』(飯倉商店街連盟)
福岡市早良区飯倉7-29-6(地図)
TEL (092)871-0498
営業時間 10:00~18:00
定休日 日曜、祭日

コメント (1)
4腕時計バンド調整金属板殿調整修理
いまひとつは日にちあわせと時間の遅れの修理可能でしょうか。
Posted by: 保坂 金作 | 2009年09月11日 05:24
日時: : 2009年09月11日 05:24