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職人さん手作りの靴「パンチャ」(神屋町)

今回は奈良屋町の 有限会社 いづみ恒商店さん、神屋町の靴製造・修理のお店「パンチャ」をお訪ねしました。
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祇園駅近くにある福岡商工会議所前を起点として、大博通りと平行して一本西側に細い道が北へまっすぐ続いています。
老舗の旅館などが並ぶ通りです。冷泉町まで上ると、最近、国の登録文化財に選ばれた鹿島本館があります。
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(北に向かって、この角から左折すると「博多町家」ふるさと館、そして櫛田神社です。)

さらに北へ進んで、昭和通りを渡ると奈良屋町です。道の右側、博多小学校の裏になりますが、神屋宗湛屋敷跡・豊国神社があります。ここは博多商人の三傑の一人宗湛が、豊臣太閤に焼失した博多の街の再興を願い出て許され、その恩に報いるため太閤を祭った神社です。神屋町の名前の由来が分かったような気がします。
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さらに少し北へ辿ると、奈良屋町に いづみ恒商店さんがありました。泉恒次郎社長が出迎えてくれました。
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(泉社長)
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(本店)

先々代が、岩田屋の中牟田氏から「草履や雪駄履きの日本人も、これからは靴を履くから革を扱ったら」とアドバイスを受けて大正7年ごろ創業されたそうです。
今では、革・靴材料部、染料や革・鞄材料を扱う手芸部、そして靴製造と靴・バッグなどの修理の「パンチャ」(イタリア語で「(大きな)お腹」)の3部門があると三代目の泉社長が説明してくれました。
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(お客様の愛着のあるバッグを修理する職人さん。パンチャにて。)

奈良屋町にある手芸部は泉社長のお嬢様・陽子さんが色々説明をしてくれました。その間にも次々に入ってこられる女性のお客様から声がかかります。アクセサリーショップ経営の方やデザイナーさんが仕入れに来ることが多いのですが、最近では手作りの趣味にはまった個人のお客様が増えているそうです。

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(右が手芸部。左は靴の「パンチャ」。北を望むと国際センターが指呼の間です。)


1階にはバッグや財布などレザークラフト用の革や金具などのパーツ、工具類が豊富に揃っています。最近は愛好家が増えて、特に男性がブックカバーなどユニークなグッズを作ってきて驚かされることも多いとか。
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(バッグはもちろん衣料・小物用まで色々な用途の革。これでもほんの一部です。)

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(お手軽な入門キットもあります。出来立ての右と比べ、左は使い込んで少しあめ色に。)

2階は草木染の染料や化学染料、染めるための生成りの生地やストール、衣類など。
同行の女性職員の目が輝き始めました。
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(陽子さん(奥)の説明に聞き入り、取材を忘れ趣味に走る記者。)

草木染の染料も草木由来だけではなく、虫なんかもあるんだそうです。
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(このカイガラムシ科エンジムシから採れた染料「コチニール」で染めるとこんなにきれいなピンク色が出ます。)

次は、神屋町にある「パンチャ」を訪ねました。今ではもう少なくなったオーダーによるハンドメイドの靴を福岡で作り続けています。

手作りの靴から撤退が続く中、良い革を仕入れることができるし、その腕のいい職人さんたちの技術を活かそうと、30年ほど前に靴の製造を始めたそうです。中国などから安い輸入靴が大量に流入し、靴の量販店で使い捨て感覚で靴を買う時代が続いて大変だったそうです。このところ高くても職人さんの手が入った、質の良い靴の人気が高まってきていると泉社長は喜んでいます。

案内をしてくれたのは、後藤さんです。
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身に付けているレザー・ベストから、ターコイズ・ストーンを散らしたバックルのベルト、同じバックルを止め金具につけたウエストバッグ、財布、靴まで、趣味が高じて全て手づくりされたと言う靴の職人さんです。

最近は靴にこだわるお客様が増えて、「雑誌で読んだヨーロッパ製のあの革を使って、この写真のスタイルの靴を」といった若い男性からの注文が増えてきたそうです。東京や名古屋のビジネスマンが出張のついでに立ち寄り、注文されることも増えているそうです。沖縄の女性が一度作ってすっかり気に入って、自分でデザイン画を描いたり写真を送ってきて、繰り返し注文をされているそうです。

靴作りの工程を全て見せていただきました。

1.まず見本や持参の写真から靴のスタイルを、数多いサンプルから革の指定をします。
もちろん革は欧州からの輸入革が最高ですが、いいものをできるだけ安く提供するため国産革からも上質なものを探して仕入れます。
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(見本の靴の隣には4頭分の皮革が飾ってあります。お店にはもっと大量の革の在庫があります。)

2.紙に足を乗せて足型をなぞります。

3.足の周囲を2箇所をぐるりと巻いて測り、さらに甲の高さ、踵サイズなどを採寸。
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(サイズを採る小道具がいっぱいです。)

4.足サイズに合わせて選ばれた木型(ラスト)に革などを張って微調整。
木型は古いものから、最近のモードのタイプまで、豊富に揃っているのが強みです。

5.型紙を起こす。

6.型紙に沿ってアッパー(甲革)をカット。
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革を引っ張ってキズの有無を確かめながら、強さ、肌理、伸びなど左右の革質を揃え、無駄の出ない向きを決め、一気にカットする後藤さん。一見無造作に見えて、非常に経験の要る作業です。

7.アッパー製作。写真は底付け前のモンク・ストラップというデザイン。
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(私が注文した分のアッパーも名前を書付けて、積まれていました。ああ、待ち遠しい。)

8.木型に釘止めした甲革、中底、ウェルトと呼ばれる細革を縫い合わせていきます。
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ミシンではなく、職人さんがすくい縫いをしていきます。
さらに、レザーまたはラバーのソール(本底)を縫い付けます。

機械を使って量産化に成功したのが堅牢さを誇るグッドイヤー・ウェルテッド製法ですが、このハンドソーンウェルテッド製法が元となったのです。

9.仕上げの磨き、研磨工程です。
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この道50年以上の職人さんもいます。

工程の9割は手作業ですから、通常は注文から完成・納品まで2~4ヶ月、完全手作業にこだわる注文にお応えする場合にはなんと半年以上かかるそうです。お値段の方は、もちろん指定する素材によって異なってきます。しかし、これだけの手作業に見合わないのではないかと心配になるぐらいの価格です。

泉社長も海外の有名ブランド靴の10万円を超える値段を見ては「うちはこれだけの時間と技術をつぎ込んで、決して引けはとらないのに。ブランド力の違いか」とため息が出ることもあるそうです。

逆に言えば、私は身近でこんな素晴らしい掘り出し物を見つけたと嬉しくなってしまいます。
博多生まれの老舗がじわじわと全国にファンを増やしています。地元にも名店ありです。是非気軽に足を運んでみてください。

(有)いづみ恒商店
住所:福岡市博多区奈良屋町9-6(地図)
電話:092-281-4804

パンチャ
住所:福岡市博多区神屋町2-10(地図)
電話番号:092-271-5549

営業時間:9:00~18:00
定休日 日曜、祝日、第2・4土曜

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コメント (4)

加藤ヨシ子:

大口の注文ではないので ためらったのですが・・・。
皮の染料を探しています。
オーストリッチの長財布が、手油で変色してしまい もう少し濃い色で染めれば又 使えるのではないかと思いますが、染料がどこで売っているか分からず 困っています。
財布は、朱色ですが、濃い色 ダークレッドか紫か 黒なら間違いなく手油汚れは隠れると思いますが・・・。

手に入れることは出来るでしょうか。

takahira:

加藤様

コメント、有難うございます。

ご質問の内容をいづみ恒商店さんにお伝えしました。直接質問にお答え頂けるとのことでした。念のため、お問合せ用のメールアドレスをお知らせします。
info@izumikou.com

takahira:

毎日新聞折込みのdan-ryu(ダンリュウ)2008.2月号3ページの「九州の手練れ」コーナーに、写真入で大きく紹介されていました。

kiss:

いづみ恒商店社長様には大変お世話になり感謝しております
靴に関しては素人同然の私に、いろいろなことを親切に教えてくれました。
最近おじゃまする機会がなく残念ですがそのうちまた遊びに行きたいと思います。

飛行少年


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