国内外で高い評価を得ている大場正男氏の版画をデザインした「干支のポストカード」を福岡市内で唯一販売している印刷会社が鳥飼5丁目商店会の一角にあります。

(大場正男さんによるペーパースクリーン版画 2002年 Sheep)
それが今回ご紹介する印刷・企画・デザインの「文林堂」さんです。
大場さんの版画は日本古来の絵画の技法を基にペーパースクリーン(PS)版画の様式を用いたもので、世界各地の展覧会への出品や個展の開催を通じて国内外で高い評価を得ています。
ペーパースクリーン版画(PS)とは・・・日本で生まれ、日本で育った現代画法です。この版式は、シルクスクリーン版のようなシルクを通さず、和紙の繊維を通して行われるものです。仕上がりが油絵や陶器の肌のようと表現され、これがPS版画の特徴となっています。和紙をもとにした薄い版材から刷りだされる、柔らかいにじみやぼかし、インクの重なりで盛り上がる重厚な質感、暖かさが作品に生かされる特性に魅力があります。
「文林堂」の山田社長と大場さんの出会いは今から30年以上も前に市内の現代詩サークルの同人誌の印刷を依頼された時にさかのぼります。
この同人誌の表紙のデザインを担当したのが大場さんです。

(大場正男さん)
同人誌の作成はまず、表紙は大場さんが必ず400部の表紙に一枚一枚自らがデザインした蝶の模様の版画を手作業で刷ります。その後、「文林堂」で残りの部分の印刷を行い製本します。

(毎号同じ蝶のに違った色で様々な模様がデザインされます。)
この印刷の過程で、山田社長が何度も何度も大場さんのところに足を運んだことから交友が始まりました。
大場さんのところに通う度に「せっかくきたのでお土産にこれをプレゼントしましょう」と・・・今までに大場さんからもらた原画のコレクションは百数十点。かなりの数になります。

(くし)

(おひなさま)

(月夜のセレナーデ)

(ノクターン)

(木と星と)

(月とサカナ)

(NELSONの鳥)

(BOKU)
元来、印刷業は発注元や下請けなどの業者との仕事が主なので普段から一般消費者との接点がありませんでした。
山田さんは、「大場さんは音を絵に表現するのが得意な芸術家です。こんなにすばらしいコレクションを自分だけで持っておくのはもったいない」と思い、2005年にこの鳥飼で商店会結成のイベントの「土曜市」が開催されたときに、この干支のポストカードを展示したところ様々な人から問い合わせがあり、びっくりしたそうです。
この「干支のポストカード(第二版)」は4年前に2,000部作成しました。
印刷は毎回毎回・・・微妙に色の出方が違います。特に大場氏の作品は色が命なのでオレンジやピンク、蛍光色などインクの中に混ぜて極力オリジナルに近いものに仕上げました。


(干支のポストカード:2,000円 税込)

(今年の干支の犬)
「文林堂」では大場氏の過去の作品が多数掲載されている作品集も購入することができます。

(COMPLETE WORKS 2002年4月発行 10,000円)
山田社長は印刷業をはじめて35年、鳥飼での営業は25年になります。
開業当時から自分なりに試行錯誤しながら色々工夫して他ではできない印刷を行っていたので、美容院などからちょっとおしゃれで工夫した印刷物の発注が相次いで業界でも注目も浴びた時期もありました。
例えば普通の印刷会社ではやらない「和紙」に印刷する技法を試行錯誤の末に完成させました。
どうして和紙が印刷できないかというと・・・和紙を印刷機に流し込むとき機械が和紙を一枚一枚取り込めないので、何度も何度も機械を止めて作業をしなければなりません。山田さんも和紙の裏にシールを張ったりして印刷機に和紙をいれる工夫をしましたが、最終的には扇風機を機械の後ろから当てて紙をさばきながら機械に送り込むことで解決しました。
そして、一時は14人ものスタッフを雇い入れ、売り上げも右肩上がりの時期もありました。しかし、人も増え設備も増えてきて、自分が大好きな印刷の仕事というより、人やモノやお金を管理する経営をやらなくてはならなくなってきました。
その後、バブルがもはじけ、売り上げも下がり、借り入れも増えて・・・最終的には夫婦二人で始めたころに戻ることにしました。

(文林堂の山田社長)
山田社長にお話を聞くと・・・
「お客さんが自分でデザインしてデータを加工するなんて昔では考えられないことです。そんな状況だけど、今後はお金儲けよりも好きな印刷を突き詰めてやっていきたい。本当に印刷の仕事が好きなので作業は人には任せれない。なので、一部大手の印刷会社に発注することはあるけれども・・・基本的には自分で最初から最後まで作業を行っています。また、昔使っていた印刷機が自宅に解体してあるので、もう一度それを組み立てて最新の印刷機では出せない味のある印刷を行いたいと思っています。」
「また、印刷業をしていると破棄処分する古紙がどうしてもでてくるので、各種サイズのメモ帳を作って店頭で販売して少しでもリサイクルに役立てれればと思っています。」と答えてくれました。

(各種サイズのメモ帳 100円)

(文林堂の外観)
『有限会社文林堂』(鳥飼5丁目商店会)
住所:福岡市城南区鳥飼5-2-18 グリーンマンション1F(地図)
TEL:(092)851-9531 FAX:(092)851-7006
E-Mail:bunrindo@bunrindo.co.jp
営業時間:9:30~18:00
定 休 日:日曜日

コメント (3)
楽しみにしてました!!
ネットで、大場先生の絵を見れるなんて・・・最高ですね!!
土曜市の時は、ほんとにびっくりしたんですよ!!
文林堂さん、これからもいい物どんどん作ってくださいね~♪♪
Posted by: ゲスト | 2006年03月28日 14:52
日時: : 2006年03月28日 14:52
Re: 楽しみにしてました!!
ありがとうございます。
幸いに工場が広いので大場正男さんの作品に囲まれて
印刷の作業をしょうと考えています。
環境が整えばお知らせ致します。
ぜひご来店下さい。いわばファクトリーミュージアム
楽しいだろうと想像がふくらみます。
文林堂 山田善之
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Posted by: ゲスト | 2006年03月28日 21:42
日時: : 2006年03月28日 21:42
文林堂 山田全善之 様
初めまして、小生、縁がありまして
大場正男先生の門下生、増本一紀です。
体調が悪い先生の中継ぎで「甃の会」の
お役目を仰せつかっております。
P.S版画関連の検索中に御社のページ
を見てコメントいたしました。
尚、小生、パソコンはビギナーです
不手際、ご無礼の段はご容赦ください。
Posted by: 増本一紀 | 2007年02月26日 19:27
日時: : 2007年02月26日 19:27