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博多織ウェディングドレスを世界に!(モード美輪:鳥飼5丁目商店会)

城南区鳥飼5丁目に博多の伝統技術を生かしながら和と洋の融合を試みている企業があります。
今回ご紹介するのは「モード美輪」さんです。


(博多織のオーダードレス)

代表取締役兼デザイナーの山下籌皓さんは19歳からオートクチュールアトリエで修行し、9期生にコシノジュンコ、高田賢三など有名デザイナーを多く輩出した文化服装学院に22歳で入学、繊維メーカー東京支社繊維企画室を経験した後、一連のプロセスを自分でやってみたいということでお母さんの代から20年続く服飾店「モード美輪」を平成元年より引き継いでいます。


(デザイナーの山下籌皓さん)

そんな山下さんが博多織でウェディングドレスをつくるきっかけとなったのは1992年に福岡市東区で博多織製造会社「サヌイ織物」の奥さまに自社でつくった生地でスーツを作ってほしいとお願いされたのがきっかけでした。

博多織の生地はごわごわとして厚みがあったのでミシンの針が何本もぼきぼきと折れるほどでした。博多織は繊細なデザインを表現するには難しい素材でした。

それから十数年・・・。

「サヌイ織物」さんは、試行錯誤を繰り返して760年の歴史をもつ「博多織」の高級感、絹100%による肌触り、それに経糸と緯糸の凸凹でおりなす複雑な柄など「博多織」の特長を生かしつつも、軽くて柔らかい生地を作ることに成功しました。


(高級感あふれる博多織の生地)

新たに持ち込まれた軽くてしなやかで今までとまったく違う博多織の生地を触った瞬間、山下さんは「この生地ならばドレープ(水の流れ)の表現や細かいコサージュの部分にも使えるし・・・いままでできなかったことができるようになる」と思ったそうです。


(様々なデザインが可能になりました。)

今まで、ウェディングドレスを製作するのに主にイタリアのシルクタフタ使用してきました。ポリエステル生地が1mあたり最高級のものでも1万円以内という価格に比べるとシルクタフタをイタリアから取り寄せるとなると、どうしても1mあたり5万円もすることになり、お客さんも限られてきます。(ウェディングドレスに使う生地は1着あたり10~12mになります。)

そんなときにサヌイさんが開発された生地を見て、こんな身近に最高の素材があったなんて・・・と驚いたそうです。同時に是非ともこの素材でウェディングドレスを・・・そして世界に向けて博多の文化として発信していきたい、そう思ったそうです。

それからウェディングドレスの開発が始まり、2005年10月に始めての博多織を素材としたウェディングドレスが完成しました。

残念ながら、私は男性でドレスのことはさっぱり分からないので・・・まずは、なぜ博多織がウェディングドレスに適しているのか?山下さんにお話を伺いました。

1.素材が天然のたんぱく質からできている。

パールとともに絹は天然のたんぱく質からできているので着用した女性の肌が人口の素材のものよりもきれいに見えます。また、化学繊維アレルギーを持っている人にも安心して着用していただけます。絹自体が生きてるものなので湿度調整もドレス自体がする機能を持っています。また、シルクだと糸が折れにくくドレスが皺(しわ)なりにくいので海外ウェディングにも適しています。

2.重さが通常の半分

化繊素材に比べ博多織で作られたドレスは軽量です。また、体にフィットしやすくすぐになじんできます。オーダーされた方の中にはウェディングドレスを着てフラメンコを踊った方もいたようです。また、布と布がすれてサラサラと気持ちのよい音も聞こえます。

3.ライトアップされた時の生地の輝きがすばらしい

光・・・シルク自体が持つ輝きは自然の光でやわらかくやさしい光です。その一方で化繊ではテカテカとした人工的な明るさです。
博多織の特徴である経糸と緯糸の凸凹でおりなす複雑な柄がライトアップされたときには浮かびあがり、シルクが元来持つ輝きとともに花嫁を際立たせます。


(ライトを浴びると複雑な織柄が浮かび出てきます)

残念ながら写真で見ただけでは、なかなかこの違いを出すことはできませんでした。実際に私も結婚する時に妻と一緒に貸衣装店にいってみましたが、素材の質感は実際に見て触ってみないと分かりません。化繊でつくられたウェディングドレスと比べると博多織のウェディングドレスは質感や高級感・ゴージャス度がぜんぜん違います。


(左:博多織のドレス 右:化繊のドレス)

モード美輪さんのところには、ウェディングドレスの発注はもとより、スポットライトを浴び、多くの人に見られる演奏家のステージ衣装としても東京や名古屋から注文があってます。


(演奏家のステージ衣装)

次に、実際のオーダーについて手順を説明してもらいました。

1.お客様からの要望を聞きます。

まず、お客様との話の中でドレスの形を決めていただきます。
また、ウェディングドレスといえば白のイメージがありますが、肌の色によっては白がどうしても似合わない方もいます。さらに、同じ白でもシャンパンパールホワイト、ベビーピンクホワイト、白無垢、白汚し、オフホワイト、パールホワイト、クールホワイトなどさまざまな白色があります。肌の色、髪の色にあわせて300色の糸を相談しながら選んでいきます

同時に、約2,000種類ある博多織の織柄のなかからお好きな柄をお決めいただけます。もしご希望に合う織柄がない場合は場合はデザインを起こすこともできます。


(お客様との打ち合わせ)

2.デザイン画を作成します。

お客様のご希望するイメージをデザイン画にします。
なお、コンプレックスをお持ちの方にはドレスのデザインや加工技術でできるだけコンプレックスをカバーすようようなデザインを提案します。


(何枚もデザイン画を書きます)

3.採寸&型おこし

ブライダル用インナーをつけての採寸をとり、お客様のデザイン・体型に合わせた型紙ひとつひとつ起こします。


(採寸して体にフィットしたものをつくります)

4.仮縫い

博多織の生地ではなく木綿生地で仮縫いしたウェディングドレスをお客様に着ていただき、デザインの再確認をしてもらいます。
この仮縫いでイメージしていたデザインを実際に仮縫いのドレスを着用することで確かめられます。衿ぐりやスカートのボリュームなど、イメージと違う部分をイメージ通りに直してゆきます。

実際に着用できるので、このプロセスでデザインの変更も可能です。


(きれいなラインを出すために調整していきます)

5.本縫い

仮縫いで修正点が確認され、補正した後に博多織の生地を使って実際に生地を裁断し本縫いに入ります。

ドレープの分量など型紙だけではできないデザインについては、立体裁断の技術で調整します。
きちんと一人一人の体に合わせて作られるので襟元なども浮いたりしわが寄ったりしません。

6.細部のつめ

完成したウェディングドレスにコサージュ、ドレープとりつけます。水は生命の源、花は愛情、つたは堅実さなどウェディングドレスに表現される装飾にはそれぞれ意味があるそうです。
この花の装飾だけで1人の針子さんが一週間かけて仕上げる細かいこだわりの縫製を行います。着心地の為に、直接肌に触れる裏側にもきちんと気を配っています。


(花びらも一枚一枚手作りです)

7.引渡し

完成品を試着してサイズ・着心地などを確認をしてもらった後にドレスを引き渡すことになります。
スムーズに何もかもいくと約1ヶ月くらいで完成します。


(完成したフルオーダーの博多織のウェディングドレス)

このような感じでオーダーウェディングドレスを作る過程は進みます。
金額は28万円からです。オーダーだから高いと思われてると思いますが、一人一人のために素材選びから加工まで行うことを考慮して比較してすれば、同程度の貸衣装をレンタルするよりも安くつきます。

奥様の雅さんは・・・
「せっかくだったら人生に一度の晴れの時に着用されるものなので、あるものの中から着せられるよりも、その人に会う最高のものを是非とも着用してほしいと思います。」


(奥さんの山下雅さん)


取材中・・・実際にお店で仮縫いの打ち合わせのために来店された福岡の企業に勤めている片桐かおりさんにどうして博多織のウェディングドレスを選んだのか?お話を聞きました。


(片桐かおりさん)

「レンタルも含めていろいろとドレスを試着しましたが・・・生地の柔らかさや高級感については博多織の生地が一番でした。デザイナーの山下さんと打ち合わせをして、私のウェディングドレスは肌の色に合わせて、「白無垢の糸」で織った「葉っぱ」をデザインした生地でつくってもらうことで話が進んでいます。まだ、仮縫いの段階ですが、世界で一つだけの自分だけのオリジナルドレスが出来ができるのが楽しみです。こうやって時間をかけて何度も打ち合わせをすることで、最初に自分がイメージした以上に素敵なドレスができていってるようなので・・・ドレスを作る過程自体が楽しいです。結婚式だけではもったいないのでワンピースにリフォームしてもらう予定です。」


(白無垢の糸を使った葉柄の生地)

オーダーウェディングドレスは着物と同じ考え方で、きちんと保管しておいて親子3代で利用することも可能です。クリーニングもきちんとやってくれるお店をリストアップしているので大丈夫です。また、リフォームしてスーツやベビードレス、赤ちゃんのおくるみ、子供の発表会用のドレスなどにも加工できます。染め直してカクテルドレスやスーツとしてのリメイクなどさまざまな活用方法があります。

代表の山下さんに業界のお話を聞くと・・・
「非常に厳しい状況です。しかも、ドレスつくりは家を作るのと同じくらい長くて細かい工程があります。しかし、何千万も売り上げが上がるものではないので、好きな人しかできない仕事でもあります。そういう意味で現在の課題は人材育成だと思っています。服飾にかかわる人材を福岡で育てていくことが重要だと思います。なので、地元の専門学校で講師を引き受けたり、学生さんを受け入れたりして、自分が今まで得た経験をなるべく多くの人に伝えるようにしています。」

最後に山下さんは
「量産ではなくOnly Oneを目指してます。将来は博多織のウェディングドレスをブランドの確立して「博多にわざわざドレスを作りに行く」という文化を根付かせたい。」と夢を語ってくれました。

※2006.10.14に鳥飼より下記住所に移転してます。
モード美輪
住  所:福岡市中央区地行1丁目3-2-101(地図)
TEL:(092)741-6301  FAX:(092)741-6306
営業時間:10:00~19:00
定 休 日:日曜日
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※参考HP
博多織を世界に広めるプロジェクト
21世紀博多織Japanプロジェクト

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