
(ショコラとゴールデンパインのダブル:420円)
けやき通りの赤坂三丁目バス停で降りるとすぐに赤い看板の目印のお店が目に入ってきます。今回ご紹介するのは手作りジェラートのお店『Ra・ccolto(ラッコルト)』です。

武内さんは朝の6時から店内の清掃や器具の殺菌などを始め、開店の11:00に間にあうように9種類のジェラートづくりをします。

(店内の清掃をします。冷凍ショーケースはジェラートが、きれいに見えるように念入りに拭きます。)
食品の中でもアイスクリームは衛生管理について厳しいのでジェラート製造に使う機材は全ては殺菌をして使用しています。つい先日も保健所からのアイスクリームのサンプル抜き打ち検査があったばかりです。このように、ジェラート作りには衛生管理に関しては厳しいものが要求されます。

(ジェラート製造に使う器具は殺菌を10分間します。)
この日は「最高気温29度、曇りのち晴れ」その日天候を携帯でチェックしてから、その日に作る数量やメニューを決めます。
「絞りたて牛乳」が定番なので毎日作ることは決まっていますが、過去に作ったメニューの組み合わせや実際に作りながらショーケースに並べたときの他のメニューとの色合いなどを考えながらメニューを決めます。

(開店以来、毎日記録しているメニュが書かれたノート)
この日のメニューで決まってるのは、搾りたて牛乳、キャラメルバナナ、ロイヤルミルクティー、ラムレーズン、ショコラ、ゴールデンパイン、マンゴの8種類です。
『ショコラ』
今日は、まず、ショコラから作り始めます。
ラッコルトさんでは、ショコラを作るのにフランス製の「ヴァローナ社」のチョコレートを使用しています。
ヴァローナ社のチョコ以外にも様々な選択肢があり試してみたのですが、最終的にジェラートとしてショコラが完成したときに味や食感が理想のものとはかけ離れていたので、原材料としてのチョコレートにコストをかける重要性を感じました。
まず、業務用の大きなチョコを包丁で細かく刻んでいきます。

その後、カカオを混ぜ入れ、湯煎で溶かします。
カカオを入れるのは、このあと入れるエイジングしたミルクでチョコの香りが落ちるので、香りを引き立たせるためにいれています。

溶かしたチョコに前日からエイジングしたミルクベースの液体を入れてしっかりとかき混ぜます。このとき、完成した後のジェラートをイメージしながら「おいしくなれ!、おいしくなれ!」と念じます。

エイジングしたミルクベースの液体とは・・・
「村山牛乳」の他に数種類の砂糖、バター、生クリーム等を混ぜた後に85度まで加熱して、冷蔵庫で一晩寝かせたものです。この液体がジェラート作りには欠かせないものです。
その中でも「牛乳」はジェラートの味、食感、香りを決める重要な部分ですので、開業前に武内さんと奥さんは福岡で手に入る全ての牛乳の試飲をしました。その日の天候や体調で味覚も変わるので、数日間にわたって30種類以上の牛乳を試飲した結果、唐津の「村山牛乳」を使うことに決めました。
最後の候補まで残った牛乳は高価な低温長時間殺菌(60度で30分以上の殺菌)の牛乳が多かったのですが、村山牛乳は75度で15分間殺菌した牛乳にもかかわらず、低温長時間殺菌の牛乳に負けないコクと香りがあり武内さんが考えるジェラート作りには最適でした。

ジェラートの機械に先ほど混ぜ合わせた液体を注入していきます。

7~8分すると機械から音が出始めます。機械の表示温度を見て機械からの音を聞きながら、タイミングを見て取り出しの作業に入ります。

(機械の中からジェラートが搾り出されます。)
搾り出されたジェラートは冷凍庫でキンキンに冷やしたバットにいれてきれいに成型します。このときジェラートの生き生き感を伝えるために「波」をイメージして成型します。これで「ショコラ」の完成です。

同様の手順で「搾りたて牛乳」「ロイヤルミルクティー」「ラムレーズン」「キャラメルバナナ」を作っていきます。
『ロイヤルミルクティー』
紅茶の葉をボールにいれ熱湯を注ぎ、20分間蒸したものをエイジングしたミルクとあわせます。

(フランスのダマン社のアッサム)
『ラムレーズン』
開店以来、ラム酒、砂糖、水を継ぎ足したものにレーズンを漬けたもので、時間がたつにつれ、尖がったところがなくなり、まろやかさと深みが出てきています。

『キャラメルバナナ』
バナナはジェラート作りには欠かせない万能な原材料でこのほかに「バナナ」「バナナマーブル」「バナナチョコチップ」などの商品があります。
ジェラートをお客様に出すときにきれいなマーブル模様が出るようにキャラメルとジェラートを何層にも重ねます

(この3リットルのバットで約20カップ分のジェラートになります。)
ジェラート作りは、イタリア製のこの機械一台で全ての作業をこなします。9種類のジェラートをつくるので、この作業を最低でも9回繰り返すことになります。
一種類のジェラートが出来上がると、すぐに機械を熱湯で殺菌し、機械の中の羽を取り出して洗浄して、次のジェラートを作る準備をします。

次は夏のナンバーワン商品「マンゴー」です。
季節限定『マンゴー』
今日はメキシコ産のアップルマンゴーを使用します。時期によっては熊本のアップルマンゴーも使用します。

今日使用する4つのマンゴーの皮をすべてきれいに剥いてミキサーにかける準備をします。


ミキサーにかけた後、ざるで濾してマンゴーの繊維を取り除きます。

(マンゴーは見た目以上に繊維が多いことが分かります。)
ここで、カナダ産のミネラルウォーターを加えます。ジェラートは他の食品と違って中に含まれるものが、少ないので素材がそのままジェラートに反映されるので、素材選びにはすごく気を使っています。水も牛乳と同様に何度も試飲し、この「Aberfoyle」を選びました。

マンゴーの絞り汁の量と砂糖の割合を電卓で計算した後、数種類ブレンドした砂糖を混ぜ合わせていきます。

(この数種類の砂糖のブレンド比率は企業秘密です)
しっかり混ぜ合わせた後、糖度計で甘さを確認して調整します。

アクセントとして酸味を加えるためにレモンの絞り汁を加えます。

最後にしっかりかき混ぜて準備完了です。
ショコラのときと同様に機械に入れると・・・

マンゴの完成です。
水ベースで作られていますが、一般のシャーベットと違いこしのある仕上がりです。まさに、これぞジェラートです。

同様の手順で本日のメニューの「甘夏」「ゴールデンパイン」を作っていきます。

(ゴールデンパイン)

(甘夏)

(甘夏を半分に切って絞ります)
こうやって開店作業を進めてる間にもお客様から電話があります。
「今日はスノーキャロットありますか?かぼちゃは?かぼちゃ金時はできますか?」
そこで武内さんは、9種類ショーケースに並べるメニューのうちまだ決まってなかった1種類をお客さんのリクエストに応じて「かぼちゃ金時」を作ることを決めした。
煮ておいたカボチャをミキサーでつぶし、エイジングしたミルクを加えて、機械の中に入れると、かぼちゃのジェラートが出てきます。
最後に、あらかじめ準備しておいた小豆をしっかり練りこんでかぼちゃ金時の出来上がりです。

こうやって9種類のジェラートが全てショーケースに並ぶのは6時から作業をはじめても開店直前の11時になります。


11時になるとお客さんが次々と入ってきます。

効率だけを考えると、ジェラートをのせるコーンを店頭に袋から出しておいて積んでおくのが楽なのですが、これでは湿気管理ができずやわらかくなってしまします。なので、ギリギリまで乾燥剤のはいっている袋に入れてジェラートをのせる直前に袋から出すようにして、パリパリ感を味わえるように気をつけてます。

武内さんは33歳のとき独立してラッコルトを開店しました。今年で4年目になります。東京の薬品メーカーで勤務後、長野県で住宅メーカーで営業をしていました。
長野にはジェラート屋さんが多く個性のあるお店がしのぎを削っていましたので、美味しいジェラート屋さんをあちこち食べ歩きしました。福岡に戻ってくると美味しいジェラート屋が見つからず、脱サラして自分でジェラート屋を始めることにしました。
開店したときなにもかも初めてで、アルバイトさんに「店長、レジにお金が入っていません・・・」という状態でした。また、開業した当時は、作業の手順が悪く5時におきて仕込みをしていたし、お店を閉めた後、周辺のマンションにチラシを配り歩くことをする生活でした。

(カップに入ったロイヤルミルクティー:320円)
「ラッコルト」という店名はイタリア語で「収穫」という意味です。その季節の旬のものをそのときに味わってほしい、という思いから店名をつけました。
今は季節感がなく一年中なんでも食べることができます。こういことはある意味、自然の摂理に反してるのでは?と考えるようになりました。暑いときには暑いとき収穫された食べ物を体に入れ、寒いときも同様にすることで体調を管理することができると思っています。なので、ラッコルトでは素材が持つ本来の特徴を引き出すために旬のものを原材料にジェラートをつくることを心がけてます。

(コーンに3種類のジェラート「搾りたて牛乳」「ゴールデンパイン」「ショコラ」をのせたトリプル:470円)
ジェラートの多くは乳等省令(厚生省が定めたアイスクリームの成分規格)のアイスミルク・シャーベットに当たります。ほとんどのジェラートが乳脂肪5%前後で低カロリー、100g当りのカロリー量も120カロリーでショートケーキの340カロリー、食パンの260カロリーと比較して圧倒的に少なく、栄養価の高い健康食品です。
ジェラートとアイスクリームの違いはクリームに含まれる「乳脂肪分」と「空気の含有率」です。一般に乳脂肪分が8%以上含まれるのをアイスクリーム、5%前後のものをジェラートといいます。空気含有率とは中に含まれる空気の割合です。 ジェラートの含有率は30%前後と低く、まったりとした口あたりになります。
イタリアでは「ジェラティエーレ」としてパティシエなどのように専門職として社会的に認知されており、ジェラート作りに使用する原材料の割合(レシピ)はイタリアでは子供にも教えないくらい重要なものです。
もともと開店当時のレシピは30種類くらいだったのを4年かけて約90種類まで増やしてきました。もちろんその過程には失敗作もあります。例えば、カレー、ミソ、青シゾ、ビールなどのジェラートもつくってみましたが、売れる商品ではありませんでした。

(かぼちゃ金時と搾りたて牛乳:400円)
開業する前までは、武内さんのジェラートのイメージはシャリシャリとした食感の食べ物でした。ところが、長野で行列ができてるお店のジェラートを開業前に食べる歩くとおいしいジェラーと屋さんのジェラートは決まってもちもちした食感がありました。
これは冷凍ショーケースの中のジェラートは時間がたつにつれて、なかの水分が肥大化することが原因です。なので、おいしいジェラート屋さんに共通していることは、作り置きしたものを販売するのではなく、「新鮮な原材料で毎日できたてのものをできたその日にお客様に提供する」というシンプルなことを徹底していることがわかりました。

(ゴールデンパイン:320円)
武内さんは自宅購入資金のためにためておいた資金を取り崩して、開業資金にあて一年をかけてビジネスプランをつくり「ジェラートとは何?」からを一から学びました。
きちんと理論は学んだのですが、いざ開業となると現実はなかなか教科書のようにうまくいきませんでした。オープンした年はどれくらいの量を作ればいいのかわからず、毎日作っても半分以上は捨てる日が続きました。
「明日も使えるんじゃないか?」「これを全部捨てなきゃいけないの?」「もったいないじゃない?」っていう悪魔のささやきが何度もありました。しかし、「作り置きするとシャリシャリのおいしくないジェラートになるし、そんなことは絶対にやめよう」という奥さんの一言で押しとどまりました。

(お持ち帰り用500ccの容器に入った「搾りたて牛乳」「ロイヤルミルクティー」(1,050円)。このボックスには2種類まで入れることが可能です。このほかに1000ccサイズのボックス(2,000円~)もあり3種類まで入れることが可能です。)
そんな経験をしながら、4年目ともなると曜日や気温や天気で感覚的にその日に作る数量はわかってきました。予想を超えたときは追加でつくることもあります。
平日で100~200人、土日で200~400人の幼稚園からおじいちゃん、おばあちゃんまでいろんなお客さんが訪れます。オープン以来、毎週末に来てくれるお客さんもいます。ピークは15時からの数時間で地域柄、女子高生や幼稚園生などが多いです。

(季節限定のメニュー)
取材を通じていろんなジェラートの味見させていただきましたが、私の一押しは「カフェ・コン・ジェラート」です。一番人気の「絞りたて牛乳」にilly社の豆を使ったエスプレッソをかけて、甘さと苦さ・冷たさと温かさが両方味わえます。ぜひお試し下さい。

(カフェ・コン・ジェラート:500円)
こってりをお望みの方は「ショコラ」や「搾りたて牛乳」など「エイジングしたミルクベース」のジェラート、さっぱりしたいものをお好みの方は水ベースの「マンゴ」や「赤ジソ」などを注文されるといいと思います。分からなければ、好みを伝えれば、お店のスタッフが親切に教えてくれます。

(武内夫妻)
武内さんに将来の夢を聞くと・・・
「天神地区への出店や業者からの照会など引き合いは多くありますが、個人のお客さんに直接販売していくことを徹底していくつもりです。他の人に販売を任せるってことは、自分が精魂込めて作ったアイスクリームもどのように販売されてるのか分からないし、いろんなものに縛られ本当に作りたいアイスクリームをつくれなくなる可能があります。お店に来てくれるお客さんに対して自分達が信じる感覚で創意工夫してもっともっとジェラート作りを深めていきたい。」と熱く語ってくれました。

(店内は明るめながらもお客様に落ち着けるようにデザインしています。)
一泊二日で届く地域(九州・中国・四国・関西・北陸・中部まで)には宅配便で配送も受けています。ぜひお問い合わせ下さい。
『Ra・ccolto(ラッコルト)』
【住所】福岡市中央区赤坂2-6-5 パークハイツ赤坂(地図)
【TEL】 092-732-3305
【営業時間】 月、水~金 11:00~20:00
土、日、祝 10:00~20:00
【定休日】 火曜日

コメント (4)
TBありがとうございました
あの美味しさの裏には、こんな手間隙やこだわりがあったとは。なるほど納得です。あーまた食べたくなってきました。でも福岡出張…当分ないなあ(笑)
Posted by: ゲスト | 2006年07月09日 12:00
日時: : 2006年07月09日 12:00
Re: TBありがとうございました
コメントありがとうございました。
オーナーの武内さんには夏場のお忙しい中、合計で7時間の取材を受けていただきました。
blogには書ききれないくらいの衛生管理・原材料へのこだわりやジェラートにかける思いについてお話を聞くことができました。
特に香料についてもお話を聞きました。お菓子や食品に含まれる香りは自然そのものでなく香料によるものがほとんどだそうです。なので、香料を使わずにジェラートを使った場合、一般の方は思っているような香りはしないそうです。香りが微かにするくらいが本当のフルーツを使ったときの香りです、とのことでした。
ラッコルトさんでは、本当に「新鮮な原材料で毎日できたてのものをできたその日にお客様に提供する」ということを徹底しています。
それが美味しさの秘訣ではないかと思います。
是非とも福岡にお越しの際には「カフェ・コン・ジェラート」をお試し下さい。
Posted by: miyazaki | 2006年07月10日 10:52
日時: : 2006年07月10日 10:52
ラッコルトさん♪
おいしいですよねぇ。
本当に大好きで天神からよく食べに行きます♪
東京から帰ってきたばかりですが
今まで食べたジェラートの中で一番好きかも!!
Haco.のお気に入りです♪
よかったらブログに遊びに来てください!
http://haconoouchi.cocolog-nifty.com/blog/
かわいい不動産を目指してがんばってます!(笑)
Posted by: ゲスト | 2006年07月10日 16:19
日時: : 2006年07月10日 16:19
Re: ラッコルトさん♪
コメントありがとうございます。
ラッコルトさんのジェラートはすごくおいしいですよね。
私自身、今回の取材を通じてどうやってジェラートができるのか体験できてすごく参考になりました。このblogを読んで竹内さんのこだわりと、おいしさの秘密が分かっていただけたらうれしいです。
完全予約制の不動産って面白い考えですね。
Posted by: miyazaki | 2006年07月10日 22:48
日時: : 2006年07月10日 22:48